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塩野七生「レパントの海戦」の感想とあらすじは?

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レパントの海戦の戦闘時間は短いです。5時間足らずで決着がついてしまったのです。

歴史上このレパントの海戦は重大な事件として捉えられています。特にヨーロッパ側から見た歴史に於いては、この時代対イスラム戦でここまでの大勝利を収めた戦いは無かったから尚更です。

しかし、このレパントの海戦以降は、徐々に地中海が歴史の舞台から消えてゆきます。大西洋が主要な舞台となったためです。

そのためヴェネツィアの国力は弱まり、そしてオスマン・トルコも弱体化してゆくのです。代わりに勢力を強めたのがスペインであり、イギリスでありオランダでした。

なお、「コンスタンティノープルの陥落」から始まる3部作は、それぞれキリスト教対イスラムの構図になっているのと同時に、ヴェネツィア対オスマン・トルコという構図にもなっています。

内容/あらすじ/ネタバレ

ガレー船が主人公をつとめた最後の大海戦となるレパントの海戦。

ヴェネツィアの領土をオスマン・トルコ軍が攻略していく。指をくわえて見守るわけに行かないヴェネツィアは、何としてでも大艦隊を率いてオスマン・トルコと対決をしなければならなかった。

そのためにはスペインの力が必要であったが、ヴェネツィアとスペインの思惑は異なっている。スペインにとって見れば地中海を牛耳っているヴェネツィアの力が削がれるのは、内心喜ばしい事だったのである。そのことを分かっているヴェネツィアは表だってスペインの参加を求めなかった。

ローマ法王ピオ5世を表に出して、対スペイン交渉を進めていく。ピオ5世の宗教心もあって、大艦隊の結成が決まる。

しかし、この大艦隊の主力を担うスペインとヴェネツィアの仲は悪い。作戦のことごとくに対立を見せる。そうこうしているうちに日数だけはすぎてゆくのである。

状況が変わるのは、スペイン王フェリペ2世の弟・ドン・ホアンが総司令官となってからである。若い総司令官は、自分の艦隊を率いてオスマン・トルコと対決することに次第に情熱を向け始めるのである。

本書について

塩野七生
レパントの海戦
新潮文庫 約二六五頁
16世紀後半地中海

目次

レパントの海戦

登場人物

アゴスティーノ・バルバリーゴ…ヴェネツィア副官
セバスティアーノ・ヴェニエル…ヴェネツィア総督
マーカントニオ・バルバロ…在トルコのヴェネツィア大使
ジョヴァンニ・ソランツォ…材ローマのヴェネツィア大使
フローラ
ピオ5世…ローマ法王
マーカントニオ・コロンナ
フェリペ2世…スペイン王
ドン・ホアン…王弟
ジャンアンドレア・ドーリア…傭兵隊長
セリム…オスマン・トルコのスルタン
アリ・パシャ…総司令官
ウルグ・アリ…海賊