平安時代を舞台に、菅原道真を主人公とし、バディに在原業平を配したサスペンス漫画です。
作者は灰原薬氏です。トピックの解説を東京大学史料編纂所の本郷和人教授がされています。
タイトルから想起されるように、クライマックスは貞観8年(866年)におきた「応天門の変」になるのでしょうか。
重要な登場人物として、伴善男や藤原良房らが登場します。
また、菅原道真と在原業平の共通の知人・友人として紀長谷雄(きのはせお)が登場します。
さて、本書のスタートが明記されていませんが、二条の高子姫が21歳という記載がありました。
高子姫の生まれが承和9年(842年)とされますので、スタートは863年と思われます。
そうしますと、菅原道真は承和12年(845年)生まれですので、18歳くらい。
在原業平は天長2年(825年)生まれで、38歳くらいです。
応天門の変まで、あと3年です。
舞台となる時代については「テーマ:平安時代(藤原氏の台頭、承平・天慶の乱、摂関政治、国風文化)」にまとめています。
全巻の目次
第1巻の基本情報
関係年表
本書の舞台となるのは、863年ころです。
ーーー第1巻はここからーーー
- 863(貞観5)
- 神泉苑で御霊会を行い、祟道天皇、伊予親王ら6人の霊をまつる
- 越中・越後地震、死者多数
ーーー第1巻はここまでーーー
- 864(貞観6)
- 富士山噴火(貞観大噴火)富士山噴火史上最大
- 亡くなった人物(円仁(入唐八家))
- 866(貞観8) 応天門の変
- 最澄に伝教大師、円仁に慈覚大師の諡号が授けられる
- 応天門の変(応天門炎上し、伴善男が罰せられる)
第1巻の「道真の平安時代講」【解説】本郷和人
- 菅原道真たちが着ている服について、道真の文章生(もんじょうしょう)について
- 平安時代の朝廷で行われていた盤双六(現代のバックギャモンの古いもの)について
- 平安時代の美女の基準である髪について
- 平安時代の恋愛のルール
物語のあらすじ
在原業平少将、門上に小鬼を見る事
女性が助けを求めて走っていました…。
…
在原業平は人目を忍んで六条の方と会っていました。
その帰り道、門の上に何者かがいるのを見かけます。
巷を賑わしている鬼か?
藤原親嗣の下女の行方が知れず、鬼の仕業と噂されていました。
在原業平が警備の件で帝(清和天皇)に呼ばれていました。帝の前には藤原良房や伴大納言善男がいました。
大内裏 八省院内 大学寮。
菅三殿、と声をかける者がいました。声をかけた男は長谷雄と呼ばれていました。
その時、検非違使が現れ、長谷雄こと紀長谷雄が女官かどわかしの嫌疑で捕まえられました。
そこに出くわしたのが権少将の在原業平です。そして、菅三殿と呼ばれたのは、菅原是善の三男・道真でした。
藤原親嗣は下女の小藤が見つからないことに焦りを覚えていました。
その頃、菅原道真は在原業平に連れられて下女らしき死体の検分をさせられていました。
死体から護摩の香りがしました。おそらくは藤原親嗣の仕業でしょう。
ですが、在原業平はこの件を鬼の仕業とすることにしました。
藤原良房を筆頭に藤原北家は朝廷の権力を掌握しています。その藤原の屋敷内のことに検非違使などが口を出せるわけがありません。
解かれた紀長谷雄を在原業平と菅原道真が問い詰めると、下女の小藤の行方を知っていると言います。
在原業平は紀長谷雄が双六を打った店を訪ねました。女主人の名は昭姫といいます。
菅原道真は昭姫と双六をしながら中国語で小藤の無事を尋ねました。そして昭姫に鬼退治を手伝ってほしいと頼みました。
そこに小藤が現れ、何が起きたのかを話し始めました…。
都を賑わす玉虫の姫の事
姫の姿を一目でもみたいと懇願した男が死んだ…。
菅原道真を父の是善が呼んで、在原業平と交流があることを喜んでくれました。
そこに在原業平が現れ、面白い話を持ってきたと言いました。
玉虫姫の話です。たいそうな美人して知られています。
在原業平も歌を送ったのですが、返事の意味が分からず、道真に相談に来たのでした。
検非違使からの火急の用が舞い込み、在原業平は菅原道真を伴って出かけました。
道端に亡骸があるのですが、場所が問題でした。
そこに紀長谷雄がやってきて、亡骸が酒井久通であり、玉虫姫に文を出し続けていたことを話しました。
森本の翁の屋敷では、女官たちが翁の世話をしていました。白梅と呼ばれた女官は翁のために書を読んでいます。
そこに伴善男がやってきました。善男は孫の玉虫姫を入内させないかと持ち掛けてきたのです。
藤原の高子姫が入内を控えていますが、高子姫が入内して子を産んでしまえば、藤原にすべてを席巻されてしまいます。伴善男はそれを阻止したいのです。
菅原道真は借りていた本を返しに森本の翁を訪ね、側付きの白梅が漢書を読めることを知りました。
玉虫姫の入内の噂は藤原良房を怒らせ、高子姫は叔父の良房が諦めないことを知っていました。
そのころ、森本の翁に仕える5人の女官は頭を悩ませていました。玉虫姫は絶対に入内できなかったからです…。