伊勢宗瑞(伊勢新九郎盛時)を主人公としたゆうきまさみ氏による室町大河マンガの第16巻です。
今回の舞台は文明19年/長享1年(1487年)です。舞台は駿河です。
第15巻に続いて、駿河における今川家のお家騒動が舞台です。
今川家のお家騒動の一方の当事者である龍王丸は、一貫して頼りなく描かれています。
ですが、元服して今川氏親になったあとは、駿河の支配を盤石にし、甲斐の武田家との対立・同盟など難しい外交もこなす大名となります。
この今川氏親の代に、今川家は守護大名から戦国大名へ移ったと考えられています。
全ての守護大名が戦国大名へ上手く転換できたわけではありませんでしたので、今川氏親は優れた大名であったことは間違いありません。
本書でも引き続き黒田基樹氏が協力者です。
新九郎と新五郎。
「真面目でつまらない」…似た男ふたり、覚悟と意地の衝突前夜。臆病でマイペースな龍王丸の一言が家督争いの流れを変えるー!?
コミックの帯
舞台となる時代については「テーマ:室町時代(下剋上の社会)」にまとめています。
第16集の基本情報
関係年表
本書の舞台となるのは、1487年です。新九郎は数え年で32歳です。
ーーー第16集はここからーーー
1487(文明19/長享1)
●将軍:足利義尚 ○管領:畠山政長⇒細川政元
◎古河公方:足利成氏 ○関東管領:上杉顕定
◎堀越公方:足利政知 ○関東執事:上杉政憲
【北条家】駿河へ下向した伊勢宗瑞が龍王丸を補佐する。石脇城(焼津市)に入って同志を集める。11月に兵を起こし、館を襲撃して今川範満とその弟・小鹿孫五郎を殺害する。龍王丸は駿河館に入る。
ーーー第16集はここまでーーー
1488(長享2) 加賀の一向一揆
●将軍:足利義尚 ○管領:空位
◎古河公方:足利成氏 ○関東管領:上杉顕定
◎堀越公方:足利政知
【関東】長享三戦。長享の乱における戦。上杉顕定と上杉定正の間で行われた戦い。実蒔原の戦い、須賀谷原の戦、高見原の戦の3つの戦をいう。
【一向宗】加賀一向一揆。高尾城の戦(長享の一揆)。守護・富樫政親を追い払い約100年の間、自治を行うようになる
飯篠長威斉家直(剣豪)が亡くなる
物語のあらすじ
力の信奉者
新九郎らは焼津の代官を力づくで追い出しました。
しかし、新九郎はことを荒立てるつもりはなく、3か月の猶予を小鹿新五郎陣営に与えました。
9月。京。
足利義尚は近江の六角高頼を討伐するために出陣しました。
一方。駿河。
新九郎を三浦次郎左衛門が突然訪ねてきました。この3日前に、小鹿新五郎の奥方・むめが新五郎の甥・竹若を伴って同じく突然訪ねてきたのでした。
こうした様子を見て、新九郎は駿府方は割れかかっているのかもしれないと考えました。
堀越源五郎が小鹿新五郎を訪ねてきました。そこで初めて新五郎はむめが新九郎の所にいることを知ります。
龍王丸が小鹿新五郎と話をしたいと言ってきました。
新五郎は、駿河のあちこちで家督争いが起きていることを知り、工作を進めました。
足利義尚の近臣という立場、今川義忠の後室・伊都の代行者という立場、当主・龍王丸の叔父という立場、これらすべてを使って駿府方の切り崩しを画ったのです。
得願寺。11月6日に会談が決まりました。
久々に見る新五郎を見て新九郎は驚きます。死相が出ているからです。
宴
龍王丸との会談を終え、小鹿新五郎は龍王丸を計りかねていました。
この会談の疲れが出たのか、小鹿新五郎は熱を出し、奇しくも龍王丸も熱を出しました。
11月8日。
駿府の今川館に諸将が集まり、明日9日に家督相続の祝いの宴が開かれるという知らせが飛び込んできました。
今川家の家督を新五郎の養子・孫五郎が継ぐというのです。
これを聞いて新九郎は家臣全員を集め、軍議に入りました。
駿府では福島修理亮が裏で糸を引き、堀越源五郎を討ち取り、新九郎側と完全に手切れになるようにしました。
小鹿新五郎がまだ病に伏している中での出来事で、小鹿孫五郎が大将となって、新九郎を討ち取るための兵を興します。