紙媒体と電子媒体、そして、購入とサブスクの併用
音楽や映画のサブスクが順調に浸透していっているのに対して、書籍のサブスクは浸透が進んでいません。
そもそも書籍の電子化がそれほど進んでいない現状があります。海外はだいぶ進んでいるような印象がありますが…。
紙媒体の現状
紙媒体の現状は新聞、雑誌、書籍のいずれもが右肩下がりです。総務省統計局が公表している日本の統計によると、次のようになっています。
新聞は1世帯で購読しているのが2018年には0.7紙となっており、わずか10年ほどの間に激減している様子がうかがえます。雑誌も同様に、わずか10年ほどの間に出版点数が20%減少しています。
それに対して、一般書籍の減少率はそこまでひどくありません。
これは、扱っている情報の性質の差ではないかと思います。
新聞や雑誌は、一過性の情報を扱っています。生鮮食料品よろしく、鮮度が命です。ですが、その鮮度を届けるタイミングが、新聞は朝夕の2回、雑誌は週1回、月1回です。
これに対してネットの情報は、リアルタイムです。鮮度という点では、圧倒的に部があります。
一方で、一般書籍の減少率はそこまでひどくないと言いつつも、その出版内訳に大きな偏りがあります。
社会科学と芸術、文学の3ジャンルで半数を占めています。社会科学が21%程度、芸術が14%程度、文学が17%で、合計52%程度です。
社会科学は、いわゆるビジネス書が多きなウェイトを占めます。ビジネス書には一過性のもの多く含まれますので、将来的には新聞や雑誌同様の影響を受けることになると思います。
新聞発行状況※1 | ※2 | 雑誌の出版点数 | 書籍新刊点数 | |
2005 | 52,568,000 | 1.04 | 4,581 | 78,304 |
2006 | 52,310,000 | 1.02 | 4,540 | 77,074 |
2007 | 52,029,000 | 1.01 | 4,511 | 76,978 |
2008 | 51,491,000 | 0.98 | 4,353 | 78,013 |
2009 | 50,353,000 | 0.95 | 4,215 | 78,501 |
2010 | 49,322,000 | 0.92 | 4,056 | 77,773 |
2011 | 48,345,000 | 0.9 | 3,949 | 78,863 |
2012 | 47,778,000 | 0.88 | 3,936 | 82,200 |
2013 | 46,999,000 | 0.86 | 3,800 | 82,589 |
2014 | 45,363,000 | 0.83 | 3,761 | 80,954 |
2015 | 44,247,000 | 0.8 | 3,674 | 76,445 |
2016 | 43,276,000 | 0.78 | 3,589 | 75,039 |
2017 | 42,128,000 | 0.75 | 3,480 | 73,057 |
2018 | 39,902,000 | 0.7 | ー | 71,661 |
- ※1:1世帯当たり部数(部)
- ※2:朝夕刊セットを1部として算出した各年10月のもの
【紙媒体のメリットとデメリット】
メリットは物理的なボリュームの把握と、収集の満足感が得られること
視覚的にボリュームが分かることがメリットです。200ページの本と500ページの本では、厚さが違います。物理的に、どれくらいのボリュームの本を読もうとしているのかがわかるのがメリットです。
そして、読んだ本を本棚などに納めて、自己満足感を得られるという副次的な効果もあります。
デメリットは置く場所に困る
この物理的な面がデメリットとなります。置き場所に困ります。読書に熱心でない人からは、いつまでも本を持っていることへの理解を得ることができません。
【電子媒体のメリットとデメリット】
メリットは物理的スペースを要しないこと
紙媒体の欠点の裏返しです。電子デバイスのスペース分だけ物理的なスペースが必要になりますが、それ以上増えることはありません。
デメリットは物理的な作業に向いていない
雑誌のスクラップ記事を作ろうととか、切り貼りをしようと思っても、難しいです。
また、直感的にボリュームを把握するのにも向いていません。100ページであっても、1,000ページであっても、厚みは同じになってしまいます。
購入とサブスク
音楽や映画に比べて、読み放題のサブスクリプション(サブスク)が進まないのは、理由がよくわかりませんが、端末の問題なども影響しているかもしれません。
読み放題のサブスクの魅力は、定額料金で大量の本を読める点です。
一般書籍のサブスク浸透には時間がかかっていますが、雑誌や漫画のサブスクはだいぶ浸透し始めています。
電子書籍購入
一般書籍の電子書籍サービスはサブスクより購入のほうが主流です。主なサービスには次があります。
サブスクリプション
代表的なサブスクを紹介します。
Amazon
Amazonの電子書籍読み放題サービスは3種類あります。
Kindle Unlimited
本読み放題のサブスクサービスといえば、Amazonが提供するKindle Unlimited(キンドル アンリミテッド)が筆頭に挙げられます。
一般書籍なら、ほぼ一択です。
Kindle Unlimitedの特徴は、取り扱う作品数が約18万冊と多いのが特徴です。
取扱いジャンルもほぼ全てのジャンルをカバーしています。さまざまな本を読みたいという方にはおすすめのサービスです。
最初の30日間は無料でお試しができ、期間が終わると自動で月額が課金されます。30日間以内に解約すれば請求は発生しません。
雑誌や漫画のほかに、洋書、実用書、専門書、ビジネス本、ファッション、ノンフィクション、歴史、語学、ライトノベル、写真集など、全部で28種類のジャンルを取り扱っています。
ただし、「Kindle Unlimited」で同時に利用できる作品数は10冊までです。11冊目を利用する際は、利用中の作品をひとつ終了する必要があります。
- 月額料金:980円(税込)
- 無料試用期間:30日間
- 作品数:18万
- ダウンロード:〇
Prime Reading
プライム会員なら無料で使えます。同時に利用できるタイトルは10冊までで、使い方はKindle Unlimitedとほぼ同じです。
ただし、対象タイトルの数はKindle Unlimitedよりも数十分の1くらいのようです。
Kindle Unlimitedのお試し版という感じです。
Kindleオーナーライブラリー
Amazonデバイス所有者だけの特典です。力を入れていないので、やがては静かに消えるかもしれません。
Amazonプライムに加入済みで、かつKindle端末もしくはFireタブレットを所有しているユーザーを対象に、月1冊まで対象タイトルが無料で購読できるサービスです。
Kindle Unlimitedを契約していても有料扱いだったタイトルが、こちらでは無料で読めてしまう場合があります。
dマガジン
dマガジンは、ドコモが提供する雑誌の読み放題のサブスクです。
国内の200誌以上の雑誌が読み放題となっており、月額400円でサービスを利用できます。
ファッション、ビジネス、スポーツ、エンタメと多彩な媒体を扱っています。
ジャンルは総合週刊誌、女性ファッション、男性ライフスタイル、女性ライフスタイル、料理・暮らし・健康、お出かけ・グルメ、ビジネス・IT・国際、スポーツ・車、エンタメ・趣味、男性ファッションの全10種類です
一部の雑誌を除き、発売日と同日に配信されるます。ただし、雑誌ごとに設定された閲覧期間の終了後は閲覧できません。
ドコモユーザー以外の人でも、dアカウントを作ればだれでも利用が可能です。
dアカウントは、「dマガジン」に申し込む画面から発行の手続きを進められます。
- 月額料金:440円(税抜)
- 無料試用期間:31日間
- 雑誌タイトル数:200誌以上
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楽天マガジン
楽天マガジンは、楽天が提供する雑誌の読み放題のサブスクです。
購読可能数は250誌以上で、月額は380円です。
ジャンルは、女性ファッション・ビューティー、女性ライフスタイル、男性ファッション、男性ライフスタイル、グルメ・トラベル、スポーツ・アウトドア、IT・ガジェット、ビジネス・経済、ニュース・週刊誌、家事・インテリア、趣味・娯楽の全11種類です。
最新号だけでなく、バックナンバーも読み放題の対象です。
月額380円のプランのほか、年額3600円プランもあります。年額プランなら、約2.5か月分お得です。
また、「楽天スーパーポイント」が貯まります。
- 月額料金:418円(税抜)
- 無料試用期間:31日間
- 雑誌タイトル数:250誌以上
- ダウンロード:〇
ブックパス
ブックパスは、auが提供するサブスクです。
書籍、雑誌、コミックを扱う総合型のサブスクです。
電子書籍の購入では約40万冊の書籍がありますが、サブスクでは約4万冊のコミック、雑誌、小説、実用書、写真集が読める「総合コース」(月額情報料618円/税別)があります。
KDDIが運営するサービスのため、auユーザーは「auID」で同サービスを利用可能です。
auユーザー以外も利用できますが、「Wow!ID」を登録する必要があります。
auユーザーなら、月々のauケータイ料金と合算して支払える「auかんたん決済」が利用できます。
- 月額料金:総合コース618円(税抜き)
- 無料試用期間:30日間
- 作品数:マガジンコース/約300誌、総合コース/4万冊以上
- ダウンロード:○
シーモア読み放題
NTT系のNTTソルマーレが提供するサービスです。
漫画やライトノベル、小説などの電子書籍を53万冊以上揃える電子コミック・電子書籍ストア「コミックシーモア」は、作品の「購入」「レンタル」「シーモア読み放題」があります。
サブスクは月額780円(税込)の「読み放題ライト」と、月額1,480円(税込)の「読み放題フル」があります。
違いは、取り扱うタイトル数とジャンルの数です。
「読み放題ライト」は、約9300タイトル(約2万1000冊)で、全7ジャンル。
「読み放題フル」では、約2万5000タイトル(約5万4000冊)で、全11ジャンルです。
- 月額料金:「読み放題ライト」月額780円(税込)、「読み放題フル」月額1,480円(税込)
- 無料試用期間:7日間
- タイトル数/作品数:「読み放題ライト」約9300タイトル/約2万1000冊。「読み放題フル」約2万5000タイトル/約5万4000冊
- ダウンロード:○
聴く読書(オーディオブック)
オーディオブックのサブスクを配信しているサービスもいくつかあます。ラインナップや質から「audiobook.jp(オーディオブック)」と「Audible」の2択です。
Audible
Amazonが運営するオーディオブックのサブスクです。
- 月額料金:1,500円
- ラインナップ:約10,000冊 (日本語)
- 購入冊数:月1冊+α
- 返品&交換:可能
- 退会後:聴ける
- 独自コンテンツ:Audible Station
audiobook.jp
オトバンクが運営するサブスクです。
- 月額料金:年割プラン833円、月額プラン1,330円
- ラインナップ:約10,000冊 (日本語)
- 購入冊数:聴き放題
- 返品&交換:―
- 退会後:聴けない
- 独自コンテンツ:ポットキャスト
本の要約
flier(フライヤー)
3,400冊のビジネス書や自己啓発本を1冊10分に要約してくれているサービスです。
大まかな内容を理解して、気になれば購入するなどすればよいと思います。
2,200円で3,400冊の要約が読み放題です。
定期購入
shelff
shelffは1,500円~の定額料金で読みたい本を毎月3冊ずつお届けするサービスです。レンタルではなく販売ですので返却の必要はありません。
ただし、お届けする本は中古本です。
- 閲覧のみ:無料
- 月額料金:通常価格 3,500円/月、初回お届けから3ヶ月間 2,750円/月、引取サービス利用時 2,750円/月、引取サービス 10冊ごとに3ヶ月間1,100円割引(合計3,300円)
- 送料 無料
漫画/雑誌/動画が1つで完結
U-NEXT
雑誌、漫画、動画(映画やドラマ)が見放題です。動画配信量はAmazonプライムビデオの約4倍のラインナップ数です。
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漫画は最初の1巻は無料ですが2巻目からは月額費のほか別途料金がかかります。
月額2,189円です。