背景となるのは、イングランド王位僭称者スティーブンと女帝モードの争いです。
そのことと本書がどのような関係にあるのかは読んで頂くしかありませんが…。
カドフェルとヒュー・ベリンガーの二人は互いに敬意を表しながら組むことのできるすばらしいコンビです。
この名コンビの活躍が頼もしい作品です。また、見習い修道士のマークがカドフェルの下で成長していくさまが楽しみです。
新修道院長になったラドルファスは威厳に満ち、かつ厳格ですが、非常に寛容な人物でもあるようです。
ラストまで読むと、ラドルファスの寛容さの一端がのぞけます。
内容/あらすじ/ネタバレ
一年に一度の聖ペトロ祭は修道院にとってのかき入れ時である。昨年は町が包囲されたため、聖ペトロ祭は開催されなかった。
その祭りの初日にブリストルの商人トマスが殺された。トマスの姪エンマは、気丈に振る舞って冷静さを保っていたが、彼女はこの事件に関して何かを知っているようであるが…
シュルーズベリ修道院の新しい修道院長になったラドルファスはカドフェルに事件の子細の報告を求めた。
ちょうどこの祭りにあわせてヒュー・ベリンガーも来ていた。二人でこの事件解決のために努力をするが、新たな殺人事件が起きてしまう。
本書について
エリス・ピーターズ
聖ペテロ祭殺人事件
光文社文庫 約370頁
12世紀イギリス
登場人物
カドフェル…修道士
ラドルファス…修道院長
マーク…見習い修道士
ヒュー・ベリンガー…州執行副長官
アライン・ベリンガー…ヒューの妻
トマス…ブリストルの商人
エンマ・ヴァーノルド…トマスの姪
アイヴォ・コルビエール…貴族
タースタン・ファウラー…コルビエールの鷹匠
イーウォルド…コルビエールの馬丁
ジョフリー・コーヴァイザー…シュルーズベリ町長で靴職人
フィリップ・コーヴァイザー…ジョフリーの息子
ロードリ・アプ・ヒウ…ウェールズの商人
ユーアン…ショットウィックの商人