藤沢周平の「玄鳥」を読んだ感想とあらすじ(面白い!)

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覚書/感想/コメント

「玄鳥」「浦島」は剣客としての腕は確かなものの、「玄鳥」では粗忽者の曾根兵六、「浦島」では酒で失敗をした御手洗孫六というダメ侍が主人公又は重要な登場人物となっている。コミカルな一面、わびしさと寂しさを感じる作品となっている。

「鷦鷯」は頑固者の父親の姿が微笑ましい。

「三月の鮠」は若者が主人公となっており、「闇討ち」では隠居が主人公となっている。

収められている作品が多様であり、コミカルな一面を見せつつも、悲しさ、わびしさ、寂しさをも感じさせる作品が並んでいる。

内容/あらすじ/ネタバレ

玄鳥

路の家は代々物頭を勤める家柄で、屋敷は五百坪ある。その敷地内にある門の軒下につばめが巣を作った。だが、夫の仲次郎はその巣を取り払わせた。

路が叔母の茂登を訪ねたのには理由があった。上意討の旅に出た、瀨田源八郎、加治彦作、曾根兵六の消息を聞くためである。その中でも、曾根兵六は路の父の秘蔵の弟子だったので気にかかるところである。路の家・末次と曾根の関係は剣を通してまだ切れないつながりがあるが、真相は叔母に話せなかった。

曾根は生来の粗忽者である。父は秘伝の型を授けようとしたが、このことに気が付いて奥義の伝授を途中で止めてしまう。

三月の鮠

窪井信次郎は去年の秋の藩主の前で行われた紅白試合で岩上勝之進に一方的に負けた。岩上勝之進は重臣の息子である。それ以来、自信をなくし、道場にも通わず釣りばかりしていた。

信次郎が釣りの途中である社で休んでいると、別当から茶の招きを受けた。そして、その社で知り合った巫女に気を奪われ、度々社を訪ねた。

ある日信次郎は別当に呼ばれ、昔おきた土屋家の惨事を聞かされる。その時の惨事で生き残ったのが巫女の葉津であるという。惨事には裏があるようで、葉津が狙われているらしい。

闇討ち

興津三左衛門、清成権兵衛、植田与十郎の隠居三人がいつものように飲んでいた。その席で清成権兵衛が闇討ちを頼まれたという。清成は勤めをしくじって家禄を三分の一に減らされている。それを戻すという約束があるらしい。他の二人は頼んだ相手を教えろというが、清成は教えなかった。罠だろうが、もし駄目だったら骨を拾ってくれと清成は頼む。

闇討ちは失敗し、逆に殺された。興津と植田の二人は清成の無念を晴らすために、清成に闇討ちの依頼をした者を探し始める。

鷦鷯

横山新左衛門は石塚平助から金を借りている。石塚は金貸しということで周囲から嫌われている。その石塚に対して、新左衛門は返済を若干待ってもいたいという。すると、かわりにというわけではないが、石塚は新左衛門の娘・品を石塚の息子・孫四郎の嫁にくれないかという。新左衛門はこれをはね除けた。

ある日、小頭の畑谷甚太夫が人を斬った。まだ暴れているらしい。新左衛門はその小頭を取り押さえるために現場に向かった。その現場で大目付と一緒に現れたのが、石塚孫四郎だった。

新左衛門は小頭の畑谷甚太夫について、石塚孫四郎に話さなければならない気がかりなことがあるように思えた。それは…

浦島

十八年前に録を減らされ、勘定方から普請組に役替えを命ぜられた、御手洗孫六は普請組の小屋で足軽達と過ごしていた。孫六はかつて多少は名を知られた剣客だったので、足軽達に侮られることはなかった。

この境遇を意外に気に入っていた孫六が突然呼び出された。そして、旧録を戻し、勘定方にもどすという沙汰があった。十八年前の嫌疑が晴らされたためであった。

だが、勘定方に戻った孫六は鬱々として楽しまない日々を過ごしていた。そんなときに…

本書について

藤沢周平
玄鳥
文春文庫 約二二〇頁
短編集 江戸時代

目次

玄鳥
三月の鮠
闇討ち
鷦鷯
浦島

登場人物

玄鳥

末次仲次郎…夫
茂登…叔母
杢平…下男
曾根兵六

三月の鮠
窪井信次郎
岩上勝之進
覚浄別当
葉津
おもと…女中

闇討ち
興津三左衛門
植田与十郎
清成権兵衛
牧野源右衛門…中老

鷦鷯
横山新左衛門
品…娘
石塚平助
石塚孫四郎

浦島
御手洗孫六

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