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藤沢周平「春秋の檻 獄医立花登手控え 第1巻」の感想とあらすじは?

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獄医立花登手控え第1弾(全4巻)

叔父の所に居候となっている立花登は、志は高く、医学を賢明に学ぶために江戸に出てきました。

ですが、頼みとしていた叔父は酒飲みの怠け者で、困り果てます。

叔母はそんな叔父をどうしようもなく思い、登をまるで下男のごとく扱い、従妹のおちえは美しいものの、高慢な態度で登に接します。

獄医も本来叔父がやっていた仕事を叔父が登に半分押しつけたような格好になっています。

そんな登にとって、唯一のうさはらしが柔術の稽古に打ち込むことでした。

この登、よせばいいのに、獄中の囚人の頼みなどを聞いてしまうのです。

獄中にいる人間だから、ろくな頼み事であるはずが無く、毎回何らかの事件に巻き込まれてしまいます。

半分は、興味がありすぎるためのような気もしますが…。

さて、今後の登の活躍に期待をしつつ、第2弾へ続きます。

  1. 春秋の檻-獄医立花登手控え-
  2. 風雪の檻-獄医立花登手控え-
  3. 愛憎の檻-獄医立花登手控え-
  4. 人間の檻-獄医立花登手控え-

映像化

  • 1982年にNHKの水曜時代劇で「立花登 青春手控え」としてドラマ化されました。
  • 2021年にNHKの土曜時代ドラマで「立花登 青春手控え2」としてドラマ化されました。
  • 2021年にNHKの土曜時代ドラマで「立花登 青春手控え3」としてドラマ化されました。

内容/あらすじ/ネタバレ

雨上がり

人殺しで牢に入った勝蔵が痛みを訴えて、立花登が診る。実は仮病なのだが、勝蔵は登にある頼み事をする。

伊四郎という男にあって、十両を受け取ったら、おみつという女に渡して欲しいというのだ。

引き受けた登だったが、いざ伊四郎にあってみると、話しは簡単には済みそうになかった。十両を素直には渡さないのである。

善人長屋

吉兵衛という牢に入っている男は、自分の無実を訴える。気になる登は、それとなく調べてみる。吉兵衛にはおみよという盲目の娘がいる。

そのおみよも様子を見てみるつもりで訪ねると、長屋の住人が親切にしてくれて、困っている様子はない。

しかし、この長屋の住人達は一癖も二癖もある人間ばかりであり、おみよに特に親切にしてくれている与五郎と源六も素性の知れない人間であった。

女牢

かつて登が診たことのある男のおしのという女房が牢に入っている。夫を刺し殺したためである。

登は子細を聞きにおしののいた長屋に赴くと、刺し殺した三日前の晩におしのがすごい声を出しているのを長屋の住人が聞いている。このとき一体何があったのか?

返り花

牢に入れられている御家人・小沼庄五郎に毒が盛られたようである。しかも、小沼の妻がもってきた差入の餅菓子に毒が入っていたようである。

同僚の矢作幸伯がそのことに気が付き登に相談をする。二人でこのことを秘密裏にしていたはずなのだが、どうやら下男の一人に感づかれたらしく、小沼の家に赴き脅したらしい。果たして、毒を盛ったのは妻なのか?

風の道

押し込みを働いた鶴吉が女房を心配して、登に逃げるように告げてくれと頼む。

押し込みは鶴吉一人ではなく、もう一人いたのだが、その相手を鶴吉は決してもらさない。もらさないのは、見張られているためであるらしい。

そうこうしているうちに、鶴吉は牢内で何者かに殺されてしまう。

落葉降る

盗みが常習化している平助がまた牢に入れられた。しかし、今度は嵌められたような気がすると平助は言う。平助にはおしんという娘がおり、近々祝言を挙げる予定になっている。登はおしんの様子を見に行くと意外と元気そうであった。

しかし、ある日おしんが襲われ、乱暴される。そして、清吉を刺したことによって、おしんが牢に入れられた。驚いた登だが、このことには裏があった。

牢破り

登を待ち受けていた男がおり、鋸を牢にいる金蔵という男に渡してくれと言う。断った登だが、男は断るとおちえの身に危害が及ぶという。

男はさらに、おちえを拐かしていることもほのめかしている。登はどうするのか?そして、おちえの身は大丈夫なのか?

本書について

藤沢周平
春秋の檻
獄医立花登手控え
講談社文庫 約二八〇頁
連作短編集
江戸時代

目次

雨上がり
善人長屋
女牢
返り花
風の道
落葉降る
牢破り

登場人物

立花登…医者
小牧玄庵…叔父、医者
松江…叔母
おちえ…従妹
おきよ…小牧家の女中
新谷弥助…登の柔術仲間
鴨居左仲…登の通う道場の師匠
園井…鴨居左仲の孫娘
奥野研次郎…登の通う道場師範代
おあき…おちえの友達
吉川恒朴…医者、叔父の酒飲み友達
曾村杏斎…医者、叔父の酒飲み友達
矢作幸伯…獄医
土橋桂順…獄医、矢作幸伯の後任
藤吉…岡っ引
直蔵…藤吉の手下
千助…藤吉の手下
百助…岡っ引
平塚…牢屋同心
水野…牢屋同心、平塚の碁敵
万平…牢の下男
平助…鋳かけ屋、盗みで度々牢に入る
おしん…平助の娘
仁兵衛…大牢牢名主
おたつ…女牢の牢名主
およね…女牢の牢名主、おたつの後釜

雨上がり
 勝蔵
 おみつ
 伊四郎

善人長屋
 吉兵衛
 おみよ
 与五郎
 源六
 清助…岡っ引

女牢
 おしの

返り花
 小沼庄五郎
 登和…小沼の女房
 千加…小沼の娘
 井﨑勝之進
 松波佐十郎

風の道
 鶴吉…傘張り職人
 辰五郎

落葉降る
 平助…鋳かけ屋
 おしん…平助の娘
 清吉

牢破り
 金蔵
 新助…櫛職人