シリーズ第六弾。
本書の最大の読み所は「品川お匙屋敷」でしょう。
結論から言えば、この話で秋山大治郎と佐々木三冬はめでたく結婚することになります。
この物語は、佐々木三冬が危機に陥り、秋山大治郎がヒーローよろしく佐々木三冬の救出に向かうのですが、それがどのようなものかは、読んで確認してください。
内容/あらすじ/ネタバレ
鷲鼻の武士
渡辺甚之助は三度の飯より将棋が好きである。その甚之助が秋山小兵衛のところにやって来た。この二人は将棋の実力が伯仲しており、将棋が楽しいのである。
しかし、この日の甚之助はなにやら死相に取り憑かれているかのようであった。小兵衛はそのことを気にするが、将棋を始めるとそれが徐々に消えていった。しかし、甚之助にはなにかかがあるようで…
品川お匙屋敷
死んだ女が佐々木三冬に託したものは胴巻きの金と筆であった。その筆には細工がされており、中から出てきたのはなにやら香料の類のようであった。
しかし、この香料のようなものは、とんでもないことに絡んでいた。そして、これがもとで佐々木三冬は攫われてしまう。秋山大治郎はどうするのか。緊迫の救出劇。
川越中納言
晴れて結ばれた秋山大治郎と佐々木三冬。その大治郎は諸国をまわっての修行中、大坂で世話になった柳嘉右衛門が急死したと連絡をうけたので、さっそくに大坂に向かった。
さて…大治郎が出立した後秋山小兵衛が見かけたのは小野半三郎であった。この半三郎には小兵衛が川越中納言の渾名を付けている。この川越中納言はとんでもない男で…
新妻
秋山大治郎が柳嘉右衛門の葬儀を済ませ、江戸へ戻る途中のこと。泊まった宿に、大治郎あてに果たし状らしき文が届く。その差出人に何の心当たりもない大治郎だが、剣客はいつどこで誰に怨みを受けているかもしれないと思い、約束の場に赴く。
しかし、全くの人違いであった。どうやら別の「あきやまだいじろう」と間違えたらしいのだ。
金貸し幸右衛門
秋山小兵衛が久しぶりに「元長」にいった時のこと。小兵衛と同年配の老人が一人で飲んでいる。この老人は金貸しを生業とする浅野幸右衛門という老人だった。この浅野幸右衛門が襲われた。幸いにして小兵衛の助けが間に合った。
しかし、一体誰が何のために浅野幸右衛門を狙ったのか?
いのちの畳針
植村友之助は秋山小兵衛の弟子でかつては逸材といわれた男である。しかし、体を壊し剣の道から離れていた。その友之助が、顔を見知っている為七を斬ろうとしている侍に畳針を投げつけた。畳針は相手の目に突き刺さった。
道場破り
鷲巣見平助は久方ぶりに道場破りをすることした。どうしても金が必要なのだ。その最初の場所に選んだのが、閒宮孫七郎の道場だった。折良く秋山大治郎がいたので、閒宮の門人がやられた後、大治郎が対戦することになった。
この鷲巣見平助はかなりの遣い手であった。大治郎をして真剣であったならもしかしたら負けていたかもしれないという。それにしても、鷲巣見平助は何故金が必要なのか?
本書について
池波正太郎
剣客商売 新妻
新潮文庫 約三二五頁
短編集
江戸時代 田沼時代
目次
鷲鼻の武士
品川お匙屋敷
川越中納言
新妻
金貸し幸右衛門
いのちの畳針
道場破り
登場人物
鷲鼻の武士
渡辺甚之助…剣客
黒田次兵衛…剣客
津島玄蕃
井川吉郎
品川お匙屋敷
山路寿仙
川越中納言
小野半三郎
新妻
鳥居小四郎
山吹屋平助
金貸し幸右衛門
浅野幸右衛門
おうの
川田十兵衛
渡辺甚之助…剣客
黒田次兵衛…剣客
いのちの畳針
植村友之助
為七
富五郎…御用聞き
小堀信濃守利氏
道場破り
鷲巣見平助
閒宮孫七郎