シリーズ第二弾です。
本作で、梅安と彦次郎と並ぶもう1人の重要な人物・小杉十五郎が登場します。
最初の出会い方が強烈です。
梅安は間違われて小杉十五郎に襲われそうになるのです。
たまったものではありません。
しかし、その後、小杉十五郎と梅安・彦次郎の仲は切っても切り離せないものになっていきます。
また、本書で小杉十五郎が一旦、大坂の白子屋菊右衛門のもとに預けられます。
これがこのシリーズの最大の伏線となっています。
そういう意味で、シリーズ中、最も重要な作品といえます。
内容/あらすじ/ネタバレ
春雪仕掛針
仕掛の仕事を終えた梅安のもとに札掛の吉兵衛がやって来て、仕掛を頼んだが梅安は断った。立て続けの仕掛を行うつもりがないのだ。
梅安はいつものように井筒でおもんと共にのんびりとしていたが、怪我をした老女が井筒に担ぎ込まれた。
担ぎ込まれたのは松永たかという。嫁を切手捨てた本閒左近という男に仇討ちを挑んだのだが、返り討ちにあったのだ。
梅安はこの老女の身の上の話を聞いて、彦次郎と仕掛けることを決める。
梅安蟻地獄
梅安は人違いで闇討ちにあった。山崎宗伯という医者と間違われたのだ。
その梅安のもとに札掛の吉兵衛がやって来て、仕掛を頼む。相手は蝋燭問屋の伊豆屋長兵衛である。
梅安が料亭で食事をしていると、どうも隣の部屋に人違いで梅安を襲った剣客がいるらしい。しかも、相当腕が立つようである。剣客の名を小杉十五郎という。
小杉十五郎はある事情から山崎宗伯を狙っていた。梅安は仕掛ける相手の伊豆屋長兵衛と山崎宗伯のただならぬ関係を知り、小杉十五郎と共に仕掛けるのが良いのではないかと思った。
梅安初時雨
小杉十五郎の剣術の先生が亡くなった。その道場の跡取りとして小杉十五郎が指名されたが、この事を面白く思わない者がいた。そして、とうとう小杉十五郎は襲われ、襲った人間を切捨ててしまった。
梅安は小杉十五郎をいったん江戸から離れさせた方がよいと判断した。そして上方へ行こうと決める。梅安には大坂の白子屋菊右衛門に小杉十五郎を預けようという心づもりがあったのである。
闇の大川橋
梅安が堀本桃庵亭から辞去した帰り道に、御用聞きの豊治郎が斬られてうめいているのを発見する。
堀本桃庵のところで治療を行うが、そのかいもなく、豊治郎は亡くなってしまう。その死に際に「あべ…」という言葉を言い残して。
梅安のもとに音羽の半右衛門という元締から仕掛の依頼が来る。相手は安部長門守とその息・主税之助である。この安部と豊治郎の言い残した「あべ」とは何か関係があるのか?
本書について
池波正太郎
梅安蟻地獄
仕掛人・藤枝梅安
講談社文庫 約三〇五頁
短編連作
江戸時代
目次
春雪仕掛針
梅安蟻地獄
梅安初時雨
闇の大川橋
登場人物
春雪仕掛針
札掛の吉兵衛…香具師の元締
松永たか
本閒左近…仙石家家臣
梅安蟻地獄
札掛の吉兵衛…香具師の元締
伊豆屋長兵衛…蝋燭問屋
山崎宗伯…医者
梅安初時雨
片桐隼人
闇の大川橋
豊治郎…御用聞き
安部長門守
安部主税之助
池波正太郎の仕掛人・江戸の暗黒街
仕掛人
- 殺しの掟
- 仕掛人・藤枝梅安 1
- 仕掛人・藤枝梅安 2 本書
- 仕掛人・藤枝梅安 3
- 仕掛人・藤枝梅安 4
- 仕掛人・藤枝梅安 5
- 仕掛人・藤枝梅安 6
- 仕掛人・藤枝梅安 7
- 梅安料理ごよみ
- 闇の狩人