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海音寺潮五郎「天と地と」の感想とあらすじは?

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海音寺潮五郎の代表的な作品です。

上杉謙信と武田信玄の対決は戦国時代における人気のあるかつ有名な出来事でしょう。

そして、多くは武田信玄の側から描かれることが多いです。

というのも、武田信玄の方には魅力のある武将が多いからです。

それに比して、上杉謙信側は上杉謙信が突出しているが為、麾下の武将が霞んでしまうという欠点があったように思います。

その点、本書は上杉謙信の側から見事に描ききった小説であると思います。

本書では、上杉謙信が亡くなるまでを描いているのではありません。しかし、重要な局面で印象的に小説は終了しています。

本書での魅力は、女色を絶って毘沙門天に仕えた景虎(上杉謙信)の周りに、女性を多く登場させていることでしょう。

おもり役としての松江、宇佐見定行の娘乃美、兄晴景の妻藤紫。それぞれが特色のある役回りを演じつつ、景虎の人物像に色づけをしています。

内容/あらすじ/ネタバレ

後年上杉謙信となる、長尾景虎が生まれてから三十二才になるまでを描いた小説。

戦の天才と言われ、女色を絶って毘沙門天に仕えた長尾景虎(上杉謙信)。

幼年の頃は父に疎まれ、他家の養子に出されそうになったり、寺に入れられたりした。

しかし、父が戦死し、跡継ぎとして兄の晴景が継ぐことになったが、兄には戦国時代を切り抜ける力がなかった。その力がないのが分かった以上、景虎は仕方なく越後の実権を握るようになる。

越後の実権を握って後、景虎は兵法を宇佐見定行に教えを請いながら、徐々に戦国大名として台頭していく。そして、宿敵甲斐の武田晴信との対決が近づいていた。

宿敵武田晴信との緊張関係が一段落している中、景虎は念願の京都上洛を果たす。以前から気になっていた公方(将軍)の置かれた悲惨な状態に業を煮やしたのである。

景虎は、公方のおかれた状況を見て、公方を軽んずる三好三人衆を討伐せんと考える。しかし、そのなか武田晴信が進攻してきたとの知らせが本国からやって来た。

本書について

海音寺潮五郎
天と地と
文春文庫、角川文庫
分冊合計約1300頁
戦国時代

目次

疑いの雲
好色豪傑
三ッ瓶子の紋章
美女鑑定
ばくち
返り忠
枯れた血
幼年の嫉妬
米山薬師堂
花野に死す
かげろう
甘い晴景
にわか雲水
兵書と糸車
兼備の女
諫言
精進談義
早熟な天才
裏富士
旗上げ
雪来る
仁王おどり
浅緑
無残やな
鉄砲初見
寝ものがたり
篠懸
十分なる手ごたえ
演出
悪いおなご
送り狼
島の城
正奇虚実
追想曲
夢想
流水
四如の旗
愛欲と信仰
美女は魔物
旭山城
善光寺如来
裾野の秋
甲越虚実
六分の勝ち
上洛計画
松永弾正忠
思わぬ客
空巣ねらい
雪しんしん
三度目
勝ちどき
かがり火
三国峠
新管領政虎
夕陽の山の下に
月出で月沈む
想夫恋
車がかりの陣法

登場人物

長尾景虎
松江
金津新兵衛
鬼小島弥太郎
長尾為景
長尾晴景
藤紫
宇佐見定行
乃美
柿﨑弥二郎
武田晴信