東慶寺(とうけいじ)は、多くの時代小説で登場する縁切り寺です。
江戸時代には群馬県の満徳寺と共に幕府寺社奉行も承認する縁切寺として知られていました。
女性の離婚に対する家庭裁判所の役割も果たしていたのです。
この縁切り寺の制度がなくても離縁は出来ました。ただ単に、幕府からお墨付きをもらっている寺というだけの話です。
江戸時代、女性の立場が低く、余程のことがなければ離縁ができなかったのではないかと思われがちですが、そんなことはありませんでした。
松岡御所とも称した特殊な格式のお寺
現在は円覚寺末の男僧の寺ですが、開山以来明治に至るまで本山を持たない独立した尼寺で、鎌倉尼五山の第二位でした。
なお、鎌倉尼五山で現存するのは東慶寺だけです。
室町時代後期には住持は御所様と呼ばれ、江戸時代には寺を松岡御所とも称した特殊な格式のある寺だったそうです。
寺としてはかなり特殊な役割を担ってきたのですが、そうしたことをみじんも感じさせないほど、寺の境内は瀟洒な作りになっています。
豊臣秀頼の娘の天秀尼
江戸時代。大坂落城の翌年の1616年(元和2年)に豊臣秀頼の娘の天秀尼が千姫の養女として東慶寺に入り、後に20世住持となりました。
この天秀尼がかかわる事件に、会津騒動、会津四十万石加藤明成改易事件があります。
他には、東慶寺を舞台にした小説として井上ひさしの「東慶寺花だより」があります。これを原作として映画「駆け込み女と駆け出し男」が撮られました。
ただし、映画で実際に撮影された場所は、東慶寺ではありませんでしたが…。
さて、水月堂の水月観音菩薩半跏像は見られなかったので、いつか見たいと思っています。
東慶寺を訪れたら、次には円覚寺、浄智寺、明月院、建長寺などがおススメです。それぞれが歩いて行ける範囲内なので、鎌倉散歩に良いです。
◎円覚寺
◎浄智寺
◎建長寺
東慶寺の案内
北鎌倉駅から近いです。
入り口は拍子抜けするほど地味です。
近くに円覚寺や建長寺などの大寺院があるので、なおさらそう感じてしまうのかもしれません。
入り口
案内板
夏目漱石参禅百年記念碑
平成6年12月に夏目漱石の参禅百年を記念して建立した記念碑です。
文学案内板
山門
鐘楼
梵鐘は観応元(1350)年の補陀落寺のものです。
書院と茶室
本堂
本堂「泰平殿」。本尊の釈迦如来坐像を祀っています。
松ヶ丘宝蔵と境内風景
宝物館「松ヶ岡宝蔵」。縁切寺の歴史を伝える寺法書や呼び出し状、駈け込みの実例を記録した松ヶ岡日記があります。
入館料:300円。開館時間:9:30~15:30。休館日:月曜日(祝祭日の場合は開館)
東慶寺の風景(動画)
東慶寺の概要
東慶寺の文化財
- 釈迦如来坐像
- 木造聖観音立像(重要文化財)
- 初音蒔絵火取母(重要文化財)
- 葡萄蒔絵螺鈿聖餅箱(重要文化財)
- 東慶寺文書(重要文化財)
- 木造水月観音菩薩坐像
- 木造観音菩薩半跏像
住所と地図
住所 | 〒247-0062 神奈川県鎌倉市山ノ内1367 |
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電話番号 | 0467-22-1663 |