記事内に広告が含まれています。

坂岡真の「うぽっぽ同心十手綴り 第7巻 かじけ鳥」を読んだ感想とあらすじ

この記事は約4分で読めます。

覚書/感想/コメント

大団円というわけにはいかないが、とりあえずシリーズ第1部終了。

第一巻から連綿と続いてきた「あること」が解決を迎えるので、一応としてみた。

が、完全にシリーズとしての終わりではない終わり方なので、第1部としてみた。

結局のところ、「あること」が「なぜ」起きたのかという根本的な部分については触れられなかったので、消化不良気味の終わり方ともいえる。

こうした点は、第2部が始まったら、語られていくのだろうか?

内容/あらすじ/ネタバレ

小春日和。紅葉狩りで有名な浅草の正燈寺に向かう途中であった。

長尾家と末吉家では結納が交わされ、綾乃が鯉四郎に嫁ぐ日取りもおよそ決まっている。

器量よしでしっかり者の綾乃は勘兵衛の宝物だった。それが手許からいなくなってしまうのは口惜しかった。鯉四郎の顔を見るたびに、溜息をついたり、歯ぎしりをすることもある。

鯉四郎が刺された。千枚通しのようなもので左腕をさされている。しかも毒が塗られている。綾乃を悲しませたくない。

勘兵衛のまぶたの裏に焼きついているのは、人ごみに消えていく女の後姿だった。

鯉四郎は仏壇屋の番頭殺しを調べていた。仏壇屋は曼珠屋といい、主は惣八だ。

錠前破りの丁次郎が十六年ぶりに八丈島から戻り、勘兵衛の前に現れた。丁次郎はくちなわの重蔵の手下であった。

勘兵衛は丁次郎の顔を見て、一年ほど前に起きた土蔵破りの件を思い出した。くちなわ一味の手口にそっくりだった。丁次郎も噂に聞き、そうだろうと思っているようだ。

十日ほど前捕まった達磨屋藤兵衛が四谷の大番屋に留められたままだという。

勘兵衛が面を拝みに行くと、へらついた調子で筆頭与力・伴野左近の名前を出した。

鯉四郎が喧嘩の仲裁と駕籠かき殺しの両方に関わっていることが判明した。

勘兵衛が賭場に潜入した。盆茣蓙には若い女の壺振りが座っている。女は乞い目のおはんという。あの女だ。
霜月、大安。綾乃が鯉四郎に嫁いだ。

勘兵衛に見知らぬ女が近づいてきた。夜鷹か。渡されたものには銀簪が入っている。かつて静に送ったものだ。

その先端に血が付いている。なにか良くないことが起きているというのか。

綾乃は嫁いでも医術の道を捨てる気がないらしく、仁徳のところにやってくる。おまけに勘兵衛の家事もこなそうとするので、叱りつけた。

阿漕な貸し付けで有名な地蔵屋の政五郎のせいで、釣瓶心中が起きた。

浅草奥山で軽業師のおたねにあった。十年ぶりだ。かつて姉といっしょだったはずだが、姉は行方知れずになったという。

おたねから静につながる比丘尼を聞いた。およりという。そのおよりが死体で見つかった。

おけいという夜鷹が行方不明になっている。それを地蔵屋の政五郎が追いかけている。おけいとおたねは姉妹の公算が高い。

江戸には逃し屋という家業がある。助十と呼ばれる男は伝説の遁科屋である。

その助十がおけいが捕まったと勘兵衛にいってきた。助十は十五年ほど前まで星野家の中間だった。星野家はお上のお勘定方だった。おけいはそこの娘だった。

地蔵屋政五郎の商売敵・天神屋次郎八を訪ねた。取引を持ちかけるためである。

師走。仁徳が小夜の名を出した。そして、いつまでも未練がましく静をまつ勘兵衛をなじった。

小夜=静に関わる話を持ってくるのはおくみという岡場所の女である。

亀屋の女将・おたまを訪ねるといきなり殺しの話をし始めた。

おくみは殺されていた。曖昧宿で殺されたのだ。

権現の守三に長谷川絵師の孤舟の話を聞きに行った。急に羽振りが良くなったという。絵草紙を書いて大当たりしたという。

これが曖昧宿でおくみと会っていたのだ。

勘兵衛は版元の市右衛門を訪ねた。そのまま監禁されてしまう。市右衛門は禁制のあぶな絵に手を染めていた。

「殿」と呼ばれる人物がおり、勘兵衛は水牢に入れられた。

本書について

坂岡真
かじけ鳥
うぽっぽ同心十手綴り7
徳間文庫 約三一五頁

目次

穴まどい
きりぎりす
かじけ鳥

登場人物

長尾勘兵衛
綾乃…娘
静…失踪した妻
井上仁徳…医師
銀次…岡っ引き、福之湯の主
三平…銀次の手下
おしま…銀次の女房
末吉鯉四郎
根岸肥前守鎮衛…南町奉行
門倉角左衛門…吟味方与力
宍戸馨之介…南町本所廻り同心
文七…岡っ引き、びんぞりの異名
おこま
雁次郎
惣八
丁次郎
達磨屋藤兵衛
伴野左近…筆頭与力
乞い目のおあん
地蔵屋の政五郎
おたね
おより
おけい
助十
天神屋次郎八
おくみ
おたま
守三
長谷川孤舟
市右衛門
甚平
おゆき
羽生織部正
矢口玄鬼
益子屋治兵衛