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山本一力「損料屋喜八郎始末控え」の感想とあらすじは?

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これは間違いなく面白いです!!

話の筋がしっかりと設定されているため、だるさが一切ありません。

かといって、簡潔すぎるわけでもなく、情景描写はしっかりとされています。

職人的な文章の作り、組み立てを行っているので、全体のバランスがめちゃくちゃ良い小説になっているのです。

本書のなかでは棄捐令が重要なキーワードになります。棄捐令とは札差に借金のある旗本・御家人らの借金をチャラにするという、いわば徳政令みたいなものです。

もちろん旗本・御家人は喜ぶが、札差にしてみれば冗談じゃないという話になります。

棄捐令が出されると、結果的には札差は旗本・御家人に貸し出しを行わなくなります。再び棄捐令を出されたらかなわないからです。

すると、旗本・御家人は困ることになります。

この棄捐令を下敷きにして、札差たちの陰謀に頭脳戦で戦いを挑んでいくところは、かなりスリリングです。

本作は読んだ方がよい時代小説の傑作の一つです。

内容/あらすじ/ネタバレ

庶民を相手に鍋釜や小銭を貸す損料屋の喜八郎は、米屋の先代に大きな恩を受けていた。当代の米屋に商才がないのを見越していた先代が当代を助けるために、喜八郎に損料屋をやらせていたのである。

当代の政八は、やはり商才がなく、蔵前の札差たちの思惑に踊らされ始める。喜八郎は、そんな米屋の窮状を助けるべく、札差たちと頭脳戦を交え始める。

そして、かつて喜八郎の上司だった与力の秋山も交えて緊迫した札差たちとの戦いが繰り広げられる。

本書について

山本一力
損料屋喜八郎始末控え
文春文庫 約三六〇頁
江戸時代 田沼時代以後

目次

万両駕籠
騙り御前
いわし祝言
吹かずとも

登場人物

損料屋喜八郎
嘉助
秋山久蔵
米屋政八
伊勢屋
笠倉屋